「京都の迷い方」
- sunsetgang
- 2023年5月17日
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2009年に京阪神エル・マガジン社から発売された、年齢も性別も肩書も違う50人による偏愛ガイドコラム集です。ありきたりの京都案内ではない、京都の持つ魅力を、50人の変態的な視点(笑)で紹介する異色本です。テーマも「あんこ」「銭湯」「看板」「おっさん」「民藝」「京都バス路線図」などなど、よくもまあこんだけ視点があるもんだと驚かされる内容になっています。そのテーマの一つとして紹介されているのが「ジャズ喫茶」です。
「ジャズ喫茶」を担当されたライターの野崎泉さんは、高野悦子の「二十歳の原点」で、彼女が大学近くのジャズ喫茶「しあんくれーる」で多くの時を過ごしていた事を知って憧れを抱き、昭和37年創業の「ブルーノート」で実際にバイトをされており、当時のお店の様子がありありと紹介されています。
エッセイでは60~70年代の京都のジャズ喫茶についての記述があります。
"60~70年代の京都には、ピーク時には40軒以上ものジャズ喫茶があったと聞く。[しあんくれーる]や[蝶類図鑑][ムスターシュ](口髭の意)といった、ひとクセある店名が多いのも京都系ジャズ喫茶の特徴らしい。個人的に思い出深いのは、ビリー・ホリディのニックネームから名付けられた[LADY DAY]、そして「浅川マキ 関学・夜どおし」のビラが未だ壁に残る[JAZZ in ろくでなし]などなど。"
京都における「ジャズ喫茶」は、社会に出るまでのモラトリアムの時間を思う存分楽しめる、京都で学生生活を送ることとができた学生達の特権みたいなものだったのかもしれません。

