「燃える秋」
- sunsetgang
- 2023年5月20日
- 読了時間: 2分
1978年に角川文庫から発売された、「五木寛之」の恋愛小説です。ヒロイン「亜希」が、祇園祭の山鉾を飾る懸装などに飾られているペルシャ絨毯に織り込まれた五千年の文化の歴史を知り、愛や幸せよりも、もっと大切な何かを求めて生きる姿が描かれました。愛人関係、祇園祭の宵山の雑踏で出会った青年との恋、そして価値観の違い(?)からの別れ、ほんで旅立ち…もうバリバリ昭和時代の恋愛小説であります。何だか重たい。
「五木寛之」は執筆活動を中断していた時期、京大医学部や熊野神社、聖護院の界隈に住んでいたようで、生活圏内にはジャズ喫茶の「YAMATOYA」や「サンタクロース」などがありました。想像の世界ですが、普段の生活の中で、お店に足を運ぶ機会も多かったのではないかと思うのです。
「燃える秋」の中で、「YAMATOYA」は物語の冒頭に登場します。
“聖護院(しょうごいん)の洋食屋で軽く食事をすませた亜希は、再び市電の通りをもどって、YAMATOYAへコーヒーを飲みにはいった。その店は表通りから少し引っこんだ小路の右側にあった。関西のジャズの愛好者たちの間ではよく知られている店で、二階と下の階とに分れていた。亜希は以前、友人に連れられてその店の二階のほうにいったことがあった。二階ではややハードなジャズを、一階のほうでは比較的スタンダードなジャズを聴かせるようになっている。亜希は店の前で少しためらってから、一階のドアを押した。”
ちなみに、1978年12月には真野響子、北大路欣也主演で映画化されています。ハイファイセットが「燃える秋」というタイトルの主題歌を担当していました。当時の三越社長だった岡田茂の企画により、破格の予算で制作されたのですが、取引業者に前売券の購入を強要したりするなどの不祥事が重なり、最終的には社長を解任されるまでに至りました。そのため、実写版の「燃える秋」も三越の恥としてのレッテルを張られ、公開後はお蔵入となりビデオソフト化やネット配信などは一切されていないそうです。実写版でもはロケ地として登場しているらしいのですが、そんな事情があり、探しても動画は出てきません。残念です。

