「鴨川ホルモー」

第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞を経て刊行された「万城目学（まきめまなぶ）」のデビュー作です。産業編集センターより2006年4月19日に刊行されました。

「京大青竜会」という怪しげなサークルに勧誘された、二浪して京都大学への入学を果たした新入生・安倍が、「ホルモー」という謎の競技を通じて経験する2年間の青春と恋愛を描いた作品です。全編を通し、京都の実在の場を舞台にお話は展開します。2009年のゴールデンウィークには松竹配給で実写版（監督：本木克英 出演：山田孝之、栗山千明、濱田岳、石田卓也、芦名星、斉藤祥太、斉藤慶太、荒川良々他）が公開されました。

この小説の中に登場するのがロック喫茶の『ZACO』です。「その五 京大青竜会ブルース」において次の一説があります。

〝俺は壁の時計を見上げた。時刻は午後三時五十分。芦屋と早良京子を除く、京大青竜会のメンバー六名には、「発議に賛同してくれる者は、吉田泉殿町にある『ZACO』に午後三時に集合されたし」という内容のメールを送っていた。スガ氏からは、他大学の会長に“第十七条を発議する可能性を伝えておいたので、あとは安部からの一報を待つのみ、という暗に激励の意をこめたメールが届いていた。スガ氏への連絡は、苦い内容になりそうだった。〟

ちなみに、実写版では『ZACO』ではなく、『しあんくれーる』があった場所のすぐ近くあった『リバーバンク』という喫茶店がロケ地として使われていました。